幸せ読書

読書を通して、小さな幸せ見つけたい。

しばらくお休みを頂きます

皆さん、こんにちは。(べるさんも読んで頂けてるかな〜)

実は、妻が乳がんのステージ3と診断されまして、多くの検査の付き添い、一部病院の転院の付き添いや、関東から義母や義姉がお見舞いに来て下さったりと、バタバタと大忙しで毎日が過ぎております。大阪では癌封じで有名な東大阪石切神社にも行って来ました。治療計画も含めた病院の医師の最終診断は、明後日8月9日に出る予定です。

皆さん、ご心配をおかけしましてすいません。

救いなのは、妻が癌と戦う気持ちを持ってくれている事です。私も、もちろん妻を全力で支えて行くつもりです。そこで、最近は忙し過ぎて、小説を読むことが出来ません。乳がん関連の本は読んでいるのですが。なので、このブログのメインテーマである小説を読んだ感想を書くと言うことが今しばらく出来そうにありません。ですので、妻の治療が軌道に乗り、私も精神的にも、時間にも余裕が出来るまでは、しばらくの間、ブログの更新をお休みさせて頂こうと思います。

私がこのブログを始める切っ掛けを下さった敬愛する読書家の「べるさん」、いつもスターを下さる「nmukkunさん」、「cat powerさん」や、その他応援して下さる皆さま、何卒、宜しくお願いしますm(_ _)m

「探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛をこめて」東川篤哉  幻冬舎文庫

 

誤発注した大量のオイルサーディンとともに、勤め先のスーパーをクビになり、地元で『なんでも屋タチバナ』を始めた、俺、橘良太。三十一歳、独身、趣味はナシ、特技は寝ること。すこぶる平凡な俺が、なんと殺人鬼の濡れ衣を着せられてしまう!そんな折、俺の前にわずか十歳にして自らを探偵と信じる無垢で無謀な美少女・綾羅木有紗が現れた―。殺人鬼の疑いを晴らすため、俺はしぶしぶ有紗と事件を調べはじめるが…。溝ノ口で事件のあるところに、天才美少女探偵あり!爆笑必至のユーモア・ミステリー。

この作品を読むきっかけは、2つありました。

1つ目は、今まで読んだことのない作家さんで、キャラクター造形が丁寧で、キャラクター設定が上手な方の作品を読んでみたいという思いからでした。そう言っても簡単に見つけられる訳ではないので、どうしようかと思案しました。そこで困った私は、私の敬愛する読書家であり、ブロガーでもいらっしゃる、べるさんのブログの過去記事を拝読させて頂くことにしました。すると、何やらどうも本作の作者、東川さんがキャラクター設定が上手そうだと分かりました。それじゃ是非一度読んでみようと思ったのが、1つ目のきっかけです。

2つ目のきっかけは、東川さんに決めたと言っても、作品が沢山あり過ぎて迷ってしまいました。そこで、作品名だけずっと見ていると、そこに、「溝ノ口」という地名があるじゃないか!何を隠そう、溝ノ口は、お恥ずかしながら、私が結婚する前の妻と初めてデートした場所なのです(べた〜。その頃、溝ノ口は、本書に書かれているように「ノクチ」とは、呼ばれてないし。ノクティプラザもなけりゃ、マルイもなくて、あるのは、昔ながらの商店と飲み屋だけで、ほんと、べた〜な街でした。)当時、南武線を利用していた妻と田園都市線を利用してた私には、会社帰りに待ち合わせるには、その二線が交わる溝ノ口がちょうど良かったからなんです。そんな馴染みのある溝ノ口がサブタイトルについた本作品を読んでみたくなったというのが2つ目のきっかけです。

それで、本作を読んでまず感じたのが、東川さんの文体は味があるなぁ〜という事でした。味がある以上に、あくが強くて、それが、文章を読ます力につながっているなと感じました、それから、作品の中に小ネタがいっぱい散りばめられていてとても楽しかったです。例えば、探偵少女アリサの父親も探偵で、急いで岡山に飛ばなくてはいけないという。その理由が、岡山にいる友人の元に殺人予告状が届き、なんでも落武者伝説に纏わる八つの連続殺人事件が起きるとのこと。これって、どう考えても横溝正史ミステリをネタにしてるやんってとこが、また笑えて、面白かったです。

ミステリ的には一話目の富士山のトリックが中々面白かったです。このトリックは、多くの人が騙されるだろうなぁと思いました。

探偵のアリサと何でも屋の良太の掛け合いが面白く、とても良いコンビなので、楽しんで読むことが出来ました。確かに東川さん、キャラクター造形が丁寧でキャラクター設定が上手でした。東川さん、結構好きかも。良い作家さんに出会えて幸せです。東川さんを読むきっかけを与えて下さったべるさんに感謝してます。東川さんのこの作品、続編があるみたいなので、また読める日を楽しみにしてます。

最後に、このブログを見て下さった方で、「キャラ読み」できるような作家さん(ミステリ、ノンミステリ問わず)、出来ればシリーズものであれば尚嬉しいのですが、ご存知の方いらっしゃいましたら教えて下さい。よろしくお願いしまーす。

「木曜日にはココアを」青山 美智子 宝島社文庫

 

わたしたちは、知らないうちに誰かを救っている――。
川沿いを散歩する、卵焼きを作る、ココアを頼む、ネイルを落とし忘れる……。
わたしたちが起こしたなにげない出来事が繋がっていき、最後はひとりの命を救う。
小さな喫茶店「マーブル・カフェ」の一杯のココアから始まる12編の連作短編集。
読み終わった後、あなたの心も救われるやさしい物語です。
インスタフォロワー数200万人のミニチュア写真家・田中達也氏がカバーを手がけています
(紹介文引用)
 

青山美智子さんの二冊目です。前回、読んだ「鎌倉うずまき案内所」がとっても素敵な作品だったので、青山さんのデビュー作品であるこちらも読んでみたいと思い手に取りました。

本作も前作同様、連作短編小説だったのですが、今作は一つの話がもっと短くて、読みやすいのに、一つ一つのお話がホッコリできる青山さんらしい温かい小説でした。

それから、この連作短編小説は、一つのお話と次のお話が繋がっていて、前のお話で脇役だった人物が、次のお話では主役だったりしました。お話が沢山あるので、登場人物が多くて、誰と誰がどう繋がってたっけ??と、お恥ずかしながらも、迷子になりそうな時もありました。ですので、もし可能だったら、登場人物相関図が、巻末にでもあったら、私のようなアンポンには、ありがたかったです。

そして、最後の話が最初の話につながってたことは、心から嬉しかったです。一冊を通してラブストーリーになってたのは、すごく素敵でした。ココアさんとココアさんは果たしてどうなるのか⁈最終話の続きが読みたくなりました。

また、全ての短編のテーマカラーがあったのもとても楽しかったです。そのテーマカラーとお話が絶妙にマッチしてて、とても素敵でした。

人と人とのつながりの大切さや、人と接する温かさ。またそこにある小さな幸せを、この本は私に教えてくれたと思ってます。こんな素敵な本に出会えたことを幸せに思います。

「あと十五秒で死ぬ」榊林 銘 東京創元社

 

死神から与えられた余命十五秒をどう使えば、「私」は自分を撃った犯人を告発し、かつ反撃できるのか? 被害者と犯人の一風変わった攻防を描く、第12回ミステリーズ!新人賞佳作「十五秒」。犯人当てドラマの最終回、エンディング間際で登場人物が前触れもなく急死した。もう展開はわかりきっているとテレビの前を離れていた十五秒の間に、一体何が起こったのか? 過去のエピソードを手がかりに当ててみろと、姉から挑まれた弟の推理を描く「このあと衝撃の結末が」。 〈十五秒後に死ぬ〉というトリッキーな状況設定で起きる四つの事件の真相を、あなたは見破れるか? 期待の新鋭が贈る、デビュー作品集。(紹介文引用)

榊林 銘さん、初めて読む作家さんでした。

死までの十五秒をテーマにしたミステリー短編集で、非常に読みやすく、面白かったです。十五秒がテーマと言っても、四編全てが異なるジャンルだったので、作者の引き出しの多さに感嘆しました。

 

十五秒

十五秒という短い時間の中で、狙撃された女性が、必死に考え、狙撃した側の人間に、何をして、何を為すべきかという所に、とても緊迫感があり、手に汗握る展開でした。 また、この話、構成が非常によく、テンポが良いので、どんどん読み進められました。 「激情と倫理観のせめぎ合い」と言う一文がとても印象的でした。

 

このあと衝撃の結末が

劇中劇の登場人物のタイムトリップの能力が 祖母から引き継いで他の誰も使えないと知ったもう一人の登場人物が、「一子相伝の能力か。」という一言には、おいおい北斗の拳かよ!とツッコミを入れたくなりましたが、そんなことは、どうでも良く、本作は、誤認トリックが、素晴らしく冴え渡る作品でした。初めは、軽めな作品かと思っていましたが、結構、ロジックが緻密に練り上げられており、読後、ううっとうなりました。

 

不眠症

車を運転している母と一緒に事故に遭う十五秒前までの夢を繰り返し見る娘。本作はミステリー濃度は低いが、母の娘に対しての愛が、よく描かれていて、切なくてとても良い作品。

 

首が取れても死なない僕らの首無殺人事件

これは、読んでて、情景を想像するだに、コメディというより、もはやコントの域だなと思った。首お手玉って凄すぎる。作者が、よくこんな特殊設定を思いついたなとびっくりしました。この「首」の特殊設定さえ、納得して読めたなら、この話しは、よく出来たトリックの、素晴らしい本格ミステリだと思う。自分としては、途中でこの特殊設定に呆れてしまい、若干、中だるみしてしまったことは否めないが。両角巡査がいい味出してくれたと思う。

 

いやはや、久しぶりに読んだミステリでしたが、凄い作家が出てきたものだなと思いました。色々な角度からの短編ミステリですが、本格ミステリ好きには、是非お試し頂きたい一冊だなと思います。

「マカン・マラン 二十三時の夜食カフェ」 古内一絵 中央公論新社

 

ある町の路地裏に元超エリートのイケメン、今はドラッグクイーンが営むお店がある。そこには様々な悩みをもつ人が集まってきて? (紹介文引用)

古内一絵さん、初めて読む作家さんでした。
この本を読むきっかけは、私の敬愛する読書家のべるさんが、<2019年 ノンミステリベスト10>の1位に選ばれてらした本だったので、どんな本何だろう?と興味を持ったからです。

本書は4つの短編からできており、それぞれ色々な悩みを抱えた主人公が、シャールさんが営むマカンマランという夜食カフェにやってくるというお話です。

この本を読み始めてまず面食らったのは、初めて見る言葉に多く出会ったことです。「マカン・マラン」、「ドラッグクイーン」、「赤文字系ファッション雑誌」、などなど。「マカン・マラン」は、インドネシア語で夜食という意味の言葉だそうです。「ドラッグクイーン」は、女装で行うパフォーマンスの一種。女装パフォーマー。纏った衣装の裾を引き摺る(drag)ことからこう呼ばれるそうです。(参照Wikipedia)「赤文字系ファッション雑誌」は「赤文字」または「赤文字系雑誌」と呼ばれる20代前半の女性をターゲットにした女性ファッション誌を総じた呼び名。 表紙に飾られるタイトル(雑誌名)が、すべて赤やピンクなどの色を用いているためこの名が付いたそうです。ほんと無知な自分を恥ずかしく思うとともに、知らない言葉に出会えて勉強になりました。

この本の中には、シャールさんのある意味、達観したような、それでいてとても温かい言葉が数々でてきます。その言葉に癒やされたり、気づきをもらったりした主人公達が元気になっていきます。
私自身もシャールさんの言葉になるほどと思ったり、感銘を受けましたので、少しだけ紹介させて下さい。(ネタバレにならない程度に)
「でも、あなた、さっき、自分の見てきたものは錯覚だったんじゃないかって言ってたけどね、世の中なんて、元々全部、その人の錯覚なんじゃないの?」この会話に、なるほどなぁ「錯覚」かぁと思いました。人間はみんな自分自身の目を通してしか見られないんだから、錯覚と言えば錯覚なんだなって。
それから、「それでもこれからは、自分自身の眼差しで、不確かな未来とつき合っていこう。」という一文は、セカンドライフを歩み始めた私自身に言ってくれているようで、心に届きました。

人を惹きつける不思議な力を持つシャールさんと出会えた人は幸せだと思う。シャールさんは、多くの傷を負っている。だからこそ、多くの傷ついている人の痛みが分かるだろうなと思った。そして、そんな人が、立ち寄って心を癒せる場所を作った。それが、マカン・マランなのだ。私も可能なら、ぜひ一度、とても美味しいそうな夜食とシャールさんに会いにマカン・マランに寄らせてもらいたい。

最後に、このマカンマランを読むきっかけを与えて下さったべるさんに感謝しています。

「鎌倉うずまき案内所」 青山美智子 宝島社文庫

主婦向け雑誌の編集部で働く早坂瞬は、取材で訪れた鎌倉で、 ふしぎな案内所「鎌倉うずまき案内所」に迷いこんでしまう。そこには双子のおじいさんとなぜかアンモナイトがいて……。 YouTuberを目指す息子を改心させたい母親。結婚に悩む女性司書。クラスで孤立したくない中学生。 気づけば40歳を過ぎてしまった売れない劇団の脚本家。ひっそりと暮らす古書店の店主。 平成の始まりから終わりまでの30年を舞台に、6人の悩める人々を通して語られる、心がほぐれる6つのやさしい物語。 最後まで読むと、必ず最初に戻りたくなります。(紹介文引用)

青山美智子さん、初めて読む作家さんでした。
どういった経緯でこの本を手にすることになったのかは不明なのですが、
気がついたら、iPhoneKindleに入っていました。
もう、何年も小説を読む習慣から離れていた私に、「小説って、本当にいいなぁ」と改めて思わせてくださった作品です。

さて、本作は、令和の始まりの2019年から昭和の終わりの1989年まで
6年ごとに遡って行く6つの短編から構成された連作短編集です。
短編ごとに、それぞれ悩める6人の主人公が、鎌倉うずまき案内所を訪れるます。
そして、案内所の所長であるアンモナイトから(実際は、案内所でオセロをしている双子のお爺さんが翻訳して)
お告げのような、人生の悩みに効くヒントをもらって帰ることとなります。
ただ、それだけではなく、出てくる登場人物が次の話や、その次の話で、
登場してきて、若いころはこんな人だったんだとか、この人とこの人が
こんなつながりがあったのかなど、微妙にお話がリンクしているのが、
大変面白くて、わくわくしながら読み進めました。

蚊取り線香の巻、つむじの巻、巻き寿司の巻、ト音記号の巻、花丸の巻、ソフトクリームの巻。
いずれも甲乙つけ難く良いのですが、私としては、ソフトクリームの巻が一番好きかな。鎌倉で古本屋を営む初老の文さんと、その古本屋に出入りする高校生のお客さん。その高校生の一人の六郎が古本屋に持ち込んだオートリバース付きのラジカセ。そして、かける曲がTMネットワークだったところは、自分も高校生の頃に、オートリバース付きのラジカセでTMネットワーク聴いていたなぁととても懐かしく、また嬉しくもありました。昭和だなぁって。それで、文さんがマーちゃんと再会したくだりでは、本当に会えて良かったねと胸が熱くなりました。

本作の全般に渡って軸となっている登場人物の黒祖ロイドには、やられました。
まさか、あの人が黒祖ロイドだなんて。思い込みで読んでいたので、
作者に最終話で、まんまと一杯食わされたような気になりました。
とっても、気持ちの良い一杯でした。

最後に、本作は、作者の青山美智子さんが、登場人物に寄り添うような優しさを
持って、書かれている作品だと思います。
その作風はとても優しく、温かで、本当に心に染みました。
こんな素敵な小説と出会えて、幸せだなと思いました。
また、小説を読みたいと思わせてくださった、青山美智子さんに
心より感謝しています。

ご挨拶

「幸せ読書」にようこそ。
ご覧頂いております皆様、多くのブログのある中、当ブログをお読み頂きまして、ありがとうございます。

 

管理人の「たつや」と申します。
読書好き、音楽好き、美味しいもの好きの50代のおじさんです。

この春、アーリーリタイアメントし、現在はセカンドライフをよちよち歩き中です。

 

このブログを始めた理由は、2つあります。

1つ目は、セカンドライフを始めるにあたり、自分自身の情報発信媒体を持ちたいなと考えたからです。情報発信というと、仰々しいですが、このブログを開設する前に読んだ、青山美智子さんの作品が素晴らしすぎて、思わず読書感想文が書きたいと思ったのが大きなきっかけです。

2つ目は、ブログを通して、色々な方と交流させて頂きたいと思ったからです。以前、ヤフーブログで運営しておりましたブログ「ミステリーの館」では、多くの方にブログ友達になって頂き、よくして頂きました。またこのブログでも多くの方と知り合えたら幸せだなと思っています。

 

このブログの名前の由来ですが、読書を通して小さな幸せを見つけられたらと思い「幸せ読書」と名づけました。

今後このブログでは、本のレビュー(読書感想文)を中心に書いて行こうと思っております。
また、セカンドライフでの楽しいことや(最近少し勉強中のカメラのこととか、料理など)気づいたことなども挟みながら運営して参りたいと思ってます。どうぞ末永くよろしくお願いします。